2011年10月24日月曜日

Houdiniブートキャンプ

先週の木曜日~土曜日の3日間、SataMonicaにあるSideEffects社のトレーニングルームで、Houdini Boot Campに出席してきた。

有料($300)のコースだが、3日間でやる内容は以下の通りで非常に多岐にわたるモノとなっていた。
たくさんあるが、一通りどんなものかを説明するという趣旨のコースである。

1日目:
1)ライティング、シェーディング、レンダリング、シーンのライティング。
2)アトリビュートと変数の説明。カスタムアトリビュートの説明。
3)SOPソルバー:サンプルファイルを使っての作業。

2日目:
1)ダイナミックス:リジッドボディー・ダイナミクス、RBDの理解とコントロール
2)Flipソルバー:Flipフルイドの理解。フィールドの作成。
3)PyroFX:PyroFX入門。フィールドを作って作業する。

3日目:
1)VOPs VOPsの理解と使い方。
2)Houdini Digital Assets(HDAs):HDAの作成と理解。
3)質疑応答


10:00-17:00のスケジュールで、これらをシーンファイルを使いながら、説明していくのだが。
食事時間や小休憩を含むと実質時間は、5時間半ほどで一日、三つのカリキュラムをこなそうとするので、
一つに使える時間が2時間弱となる。
非常に早い、スピードで説明され、あえていうなら通常のビデオチュートリアルの2倍ぐらいの速度で進んでいく。
パラメータの位置などを探すためにまごまごしていると、3ステップぐらいすでに進んでいるような状況だった。

このコースに参加するにはHoudini基本操作は迷わずできるぐらいは、最低限でも必要と思われる。
また一通りの作業はやっていることが望まれる。
ソフトに依存しない理解においてはある程度の基礎知識がないとちんぷんかんぷんになってくる。
よって入門者やCG初心者には少々きつい内容ではある。

反面、カスタムシェーダーやVOPsなど結構ローレベルな操作もしていくので、その辺りを知りたい人やCGプログラミングをする人などには、けっこううれしい入門コースではないかと思う。


スピードに無理がある点は、教える側も理解しており、
全ての内容はステップ毎のシーンファイルが準備されており、途中で見失ってもそれをみればわかるようになっている。
また授業の内容は音声を含めて記録されており、後ほどチュートリアル動画としてコース参加者はダウンロード可能となる。
言ってしまえば、ビデオチュートリアルとステップ別のシーンファイルを渡しますが、それをとりあえず手っ取り早く説明しますねというほうが正しいかも知れない。


前もってシーンファイルなどをわたしてもらい予習を家でやり、その後にこのコースに参加すれば
理解はおそらく2倍以上になっていたのにと思う、もう少しやり方を考えてほしいところ。


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さてコースの中身についての感想だが、

正直、まだまだ入門レベルの自分にはきつかった。
先に述べたようにスピードが速いので、どのノードを使ってどういうことをやるかというのをじっくり理解しているような時間はなかった。
このコースでやったことをどれか一つでもやって見せてくれと言われても多分できない。

とりあえず、何かやりたいことがあり、それはどういう考えをもって進めていけばいいのかということの概略をつかむことに集中した。
それもおそらく理解度は10-20%ぐらい...。


まぁ転んでもただでは起きるつもりはない。
自分なりに得られたモノは、ある。

1)まず、通常のチュートリアルではここまで入り込まないだろうというようなディープなところまで入って操作している所。
これから先、自分で勉強しているときに、おそらく選択肢として考える幅というか目をつけることの出来る領域は広くなったと思う。

2)つぎに、自分にはまだまだ覚えなくてはいけないことがたくさんあると言うこと。
今回のコースで作ったシーンは、比較的簡単なモノが多い。
それなのについて行けてない。
それは知らないHoudiniのノードであったり、知らないパラメータや、しらない接続の仕方だったりする。
いいかえれば、Mayaでできていたことができるようになるまでにも覚えるべき事がたくさんあるし、
Houdiniならできるだろうと思っていたことが出来るようになるまでにもまだまだ時間が必要と言うことだ。

3)Houdiniは非常に低いレベルのデータを直接扱える。
そしてそれゆえに非常に柔軟性がある。
Mayaだとノードの働きとその使い方、組み合わせを覚えることが作業を進めていく上で鍵となることがある。
Houdiniもそうなのだが、ちがいとしてはノードの中身を低いレベルまで細かく分割してみていくことができ、ノードを自作したりカスタマイズすることも可能。
プラグインがないという理由がわかる。
VOPsなどで使われるノードは、それ自体がスクリプト言語一つ一つをノード化したようなもので、
電子ブロックのような感覚で、自作ノードを作ったりノードを操作することが出来るようになる。


4)(上記と内容的にダブってはいるのだが...。)
どんなアトリビュートを利用できるのか非常に柔軟性のある考えをあたえてくれる。
これはチュートリアルをやってても感じる事が出来るHoudiniの一つの特徴だが、BootCampで自由自在にパラメータを接続し、エクスプレッションで加工し使っているのを見て、まさにそれがHoudiniを使う理由の大きな一つだと思った。

それゆえ、変数とか、Int、Vecといった変数の種類とか、CGの要素がそれぞれどんな種類の値を持っているのか(たとえばポリゴンフェイスは、Point、Normal、Colorなど)を明確に知っておくことがHoudiniでの作業の柔軟性を高める上で重要だと思った。
Houdiniでのデータの加工というのは、ポリゴン、カーブ、ポイント、シェーダー、ダイナミックスの境界を自由に越えていると思った。

CGがCGたる所以はコンピュータでいろいろな操作をすることが出来るからである。
Houdiniはスクリプトを作らなくても、ユーザーがコンピュータを操作していることが実感できるソフトである。


5)その他
3DCGソフトのシミュレーションは物理的に正確なシミュレーションではない。
振る舞いを物理的に近いモノにできるが、アーティストが操作することでより自由度のある動きを作ることが出来るようになっている。

Houdiniでは何かの情報を色のパラメータに置き換える事がある。
これは情報を色のパラメータに格納しているだけである。
(要は変数と同じか)

Houdiniを勉強するためにSideEffectsのサイトにあるチュートリアルをお勧めしていた。

6)自分のメモ:
エフェクトにはシェーディングなどの知識は二の次でよいかというとそうでもなくHoudiniはありとあらゆるパラメータを自由につなげることができるのでシェーディング関係も知っていた方が自由度は高くなるように思う。


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今回のブートキャンプは当初、日本人は自分一人だろうと思っていたが、バンクーバーから二人が参加していた。
そのうちの一人は、以前日本に一時帰国したときにあった八尋氏で、1年半ぶりの再開となった。
もう一人の学生さんも含めて、金曜の夜はLAエフェクト飲み会を開催、DDの五十嵐さんにも参加していただき、
たのしい飲みとなりました。
(五十嵐さんには、ずっと気になっていた、あのTronショットの秘密を教えていただき、その力業に驚くと共にやっぱりそうなんだ~と納得)



またこのブートキャンプで目についたのは業界経験者がいたことです。
中にはMaya歴14年(Houdini歴6ヶ月)という人も居ました。
質問の内容からしても、他の方も6~7年は経験している人達のような感じがしました。
やはり、Houdiniへスイッチしようとしている人は増えてきているという印象です。

今現在のトレーニングの状況からすると、Houdini売り手市場なのは、LAではあと1年ぐらいじゃないかなという勝手な推測をたてています。
それ以降になると、しっかりとしたHoudini経験がないとなかなか採用されないような状況がでてくるような気がします。(あくまでLA内です)


おどろいたのは今回バンクーバーから来た二人の話ではバンクーバーではHoudiniアーティストが必要な会社は多いのに教える学校が1つしかないと言うことです。

少し前にカナダ政府は地元のアーティストを雇うように圧力をかけたという話を聞きましたが、会社側では使えるアーティストがいないという声も目にする状況でした。
一体何が起きているのかわかりませんでしたが、なるほどアーティスト自体はいるのかもしれませんが、即戦力となる(Houdiniのい)アーティストは不足してそうですね。


最後に皆が気になる12は、「今年中には」 という事です。

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